匿名さん
――2024年組の中学受験が終わりました。生徒たちにはどういう言葉をかけましたか。「偏差値が高い学校」に入ったほうが子どもは幸せなのか 中学受験の人気塾長がみた、卒業生たちの“その後” | AERA with Kids+
「中学受験の価値は、偏差値だけでは測れない」と話すのは、「自ら考え、答えを出す」ことをモットーとする中学受験指導塾「應修会」を主宰する茂山起龍さん。受験が終わってからも教え子との交流を続けるなかで…
第1志望校の合格を手にした生徒にも、手が届かず悔しい思いをした生徒にも、基本的に僕は「受験勉強自体は終わるけれど、勉強はその先も続いていくよ」というメッセージを伝えるようにしています。
――偏差値だけではない価値に重きを置くようになったのはなぜですか。
実は僕も昔は、高偏差値の学校のほうが価値が高いと思っていました。24歳で塾を開業し、当時は少しでも偏差値の高い学校に生徒を入れようと奮闘していましたが、卒業生の話を聞く機会が増え、考えが変わっていきました。なぜなら、必死の思いで偏差値の高い学校に進学した子が、幸せな学生生活を送っているとは限らなかったからです。なかには、勉強についていけなかったり、自身の性格と合わなかったりで、「学校をやめたい」と言う子も。
一方で、「きれいな校舎で過ごしたい」「ラグビー部があるところに行きたい」「かわいい制服だとテンションが上がる」など、きっかけはささいなものでも、子どもの希望や特長に寄り添いながら偏差値にこだわらず学校を選んだご家庭は、進学後も楽しまれている人が多い印象です。
――親自身が、偏差値を重視しすぎてしまうこともあります。
お子さんと学校を選ぶときに一番注意してほしいのが、親による“学校のランクづけ”です。偏差値表をながめながら「あっちの学校が上だよ」「この学校のほうが簡単」などという親の何げない声かけが、子どもの価値観にも色濃く影響を残し、子ども自身も同じようなことを言うようになってしまいます。
僕の塾では、子どもたちが志望校や進学先に誇りを持てるよう、偏差値表は貼らず、合格実績も学校名の50音順で並べています。どの学校に行っても結局は中学1年生になるだけ。お子さんがよりよく自分を表現できる学校選び、そしてそのための言葉選びを大切にしてほしいです。